脊柱管狭窄症で排尿障害に!?保存治療と手術治療を分かりやすく解説

 

年齢を重ねると、腰や足の痛み、中には排尿のことで悩む方もいるでしょう。
今回の記事では脊柱管狭窄症と排尿障害のことを紹介していきます。

腰部脊柱管狭窄症と排尿障害について


腰部脊柱管狭窄症は脊柱管を構成する骨、椎間板、靭帯が変わることにより、腰部脊柱管が狭くなる病気です。
主な症状は腰痛、しびれ、肛門周囲のしびれがあげられます。最も特徴的な症状は間欠性跛行(かんけつせいはこう)で、歩行により下肢の痛み、しびれ
脱力が出現し歩行が難しくなります。しばらく休息すると症状が軽減し、歩行ができる状態となります。

また排尿障害などがあり、頻尿、尿もれ、残尿感なども腰部脊柱管狭窄症の症状です。

腰部脊柱管狭窄症の治療について

ここからは腰部脊柱管狭窄症の治療についてを紹介します。

保存治療

薬物治療
リマプロスト(プロレナール、オパルモン)
プロスタグランジンE1誘導体製剤です。主に血管拡張作用に伴い血流の増加を促してくれます。
また血小板凝集抑制作用などもあり、血液の流れを良くしてくれます。血行を促すことで、脊柱管狭窄が起きている部位の血流を改善し、腰の痛みや下肢のしびれを改善します。
有効率は80%とも言われており、腰部脊柱管狭窄症の薬物療法として、第一選択になる治療薬です。

プレガバリン(リリカ)
神経障害性の疼痛に使われる第一選択薬です。炎症性の所見が乏しい症例では特に効果が得られやすいとされております。
初期の段階ですと、副作用のふらつきや眠気などが生ずることがあります。しかし内服を続けることにより徐々に消えていくとされています。
また反対に長期の連用により浮腫や体重増加などの副作用がみられることがあります。
この薬も有効率は80%以上とされています。

NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬の総称)
腰痛や下肢痛などの強い神経根性の腰部脊柱管狭窄症場合は、急性の炎症症状などを発症していると考慮し、NSAIDsを使います。
長期の連用や空腹時の内服で、消火器系の潰瘍や胃腸障害を生ずることがありますので、炎症が強い急性期に使うのが望ましいです。

デュロキセチン(サインバルタ)
セロトニンやノルアドレナリン再吸収阻害薬で元々はうつ病の治療薬として使われてきました。しかし腰痛をやわらげる効果が取り上げられ、近年では腰痛の治療薬として保険適用になりました。
その薬の理作用は「線維筋痛症に伴う疼痛治療薬」とされております。ほかの腰痛に対する鎮痛薬が効かなくても、この薬が効果を発揮し、腰痛が改善される事例が多々あります。

トラマドール(トラムセット)
弱オピオイド製剤で、慢性疼痛と難治性疼痛に有効とされております。最初のうちは、副作用で吐き気や嘔吐が生ずることがありますが、これは数日でほとんど消えます。
この間は制吐剤と一緒に内服すると良いです。主な副作用は吐き気、めまい、口喝、便秘などです。症状に応じ、副作用を抑える内服薬を一緒に使うと良いでしょう。

アセトアミノフェン
抗炎症作用はありません、しかし鎮痛薬としても比較的安全性が高い薬で、副作用は多くないです。
長期服用により肝障害を起こすことがありますので、腰痛や下肢痛が強い急性期に使います。

ブロック療法
神経根ブロック
X線透視下に神経根に局所麻酔薬やステロイド剤を注入します。
神経根の圧迫により下肢痛が生じている神経根型の狭窄症に効果があるとされています。

仙骨ブロック、硬膜外ブロック
馬尾や神経根を包んでいる硬膜の周囲の空間に、局所麻酔薬やステロイドを注入し、知覚神経を麻酔します。
ステロイドは炎症を抑える効果があります。

トリガーポイント注射
腰痛疾患で腰部の局所に筋肉が硬くなってしまい、押すと強い関連痛や再現痛や再現痛を示す場合があります。筋肉由来の腰痛疾患を発症すると言われていますが、病態はっきりしていません。
この部分に局所麻酔薬を注射します。一時的に症状が改善することが多いです。しかし根本治療にはなりません。

物理療法
温熱治療、牽引治療、光線治療などがあります。鎮痛効果や血流改善などがありますが治療の効果は薄いです。

手技療法、鍼治療
AKA、カイロプラスチック、マニプレーションなど仙腸関節や局所の局所の関節を動かし鎮痛を計ります。
鍼治療と同じく、脊髄や脳幹レベルで疼痛抑制機構が働くことで一時的な鎮痛効果が得られます。

装具療法
腰椎が後ろに反らないように装具を装着し、体幹の安定性を高めます。

運動療法
ストレッチ、トレーニング、動作指導などを行っていきます。

腰部脊柱管狭窄症の手術について

手術治療を考える時期
・保存治療をしても15分の歩行が難しい
・踵歩きやつま先歩きができない
・膀胱直腸障害が出ている

上記の症状が出ている時は手術を考えた方が良いでしょう。

椎弓切除術
脊柱管の仲の神経を圧迫する骨やじん帯などの部分を除去するために、脊柱管の背中側に位置する椎弓を必要に応じて部分的、もしくは広い範囲で切除します。

脊椎固定術
椎弓切除術により、神経を圧迫する部分を除去するために椎弓を削った後、脊椎が安定しなかった場合には、除圧した範囲の脊椎を固定します。
この術式を脊椎固定術といいます。

まとめ

1.腰部脊柱管狭窄症と排尿障害について
2.腰部脊柱管狭窄症の治療について
3.腰部脊柱管狭窄症の手術について

腰部脊柱管狭窄症の排尿障害は治療をすることで改善することがあります。よって気になる症状がある方は一度病院に相談することを勧めます。
また手術は保存治療に効果がない場合に検討すると良いでしょう。