腰椎椎間板ヘルニアの診察で行うテスト【ヘルニアの部位が推察できる】

 

これって腰椎椎間板ヘルニアなのかな?と疑いを持って病院に行きますが、診察でヘルニアの部位を大方推察することができるテストを行います。

 

今回は、そのテストってどういった内容?そして自分でもヘルニアの部位を調べてみたい!といった方へ向けて、わかりやすく解説していきます。

 

腰椎椎間板ヘルニアとはどんな病気?

 

あかりスタッフ

まずは腰椎椎間板とはどんな病気なのかというところからお話します。

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰痛や下肢痛が生じる病気です。

 

背骨の椎骨は、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個の合わせて24個がつながって成り立っています。

 

椎骨と椎骨の間には、椎間板という軟骨が挟まれていて、クッションのように衝撃を和らげる役割をしています。

 

腰椎の外傷や加齢によって椎間板に負担がかかると、椎間板・線維輪に亀裂が生ることによって、線維輪の内部にある髄核というゼリー状の組織が飛び出して、神経組織を圧迫して炎症が起こります。

 

それが腰椎椎間板ヘルニアの原因となり、20代から40代の、比較的男性が発症することが多いです。

 

腰椎椎間板ヘルニアの症状

 

あかりスタッフ

腰椎椎間板ヘルニアの症状は次の5つです。

  1. 坐骨神経痛
  2. 足がしびれる
  3. 腰痛
  4. 足の筋力低下
  5. 膨張直腸障害

 

腰椎椎間板ヘルニアは、第4腰椎と第5腰の間か第5腰椎と仙骨の間の異常が原因で起きるのがほとんどです。

 

発生する高位で痛みの場所が異なっていて、お尻や太ももの後ろの部分から足の裏まで痛みやしびれが広がる場合と、太ももの外側・前側に痛みやしびれが生じる場合があります。

 

また、足の筋力が低下して、スリッパが脱げたり、つま先で立てなかったり、指に力が入らなかったりする症状もあります。

 

そして、尿意がわからなくなって尿が出なくなったり、肛門周囲が感覚麻痺を起こすことも腰椎椎間板ヘルニアが原因の症状です。

 

腰椎椎間板ヘルニアの診察

 

あかりスタッフ

専門の医療機関に行くと、まず問診でいくつかの質問や病歴を丁寧にたずねられます。たずねねられる質問は、いろいろありますが大に次の5つの内容です。

 

  1. 腰以外に足の痛みもあるか?あるとしたら、足のどの部分なのか?
  2. 足の痛みが太ももやすねにあるとしたら、外側か、後ろ側か、内側か?
  3. 咳やくしゃみで痛みやしびれがつよくなるか?
  4. 安静にしているときの痛みやしびれはどうか?
  5. 痛みやしびれは、発作的か?あるいは持続的に痛むか?

 

神経刺激症状の誘発テストと神経学的診察

 

問診が終わると、患者さんに身体を動かしてもらったり、医者が患者さんの身体を触って診察を行います。

 

検査としては、痛みやしびれといった神経刺激症状の誘発テストと、麻痺症状を調べる神経学的診察があります。

 

あかりスタッフ

ま刺激症状の誘発テストは次の2つです。

 

 

  1. 下肢伸展挙上(SLR)テスト
  2. 大腿神経伸展(FSN)テスト

 

下肢伸展挙上(SLR)テスト

 

患者さんにあお向けになってもらい、足の膝を伸ばしたまま足を上げてもらって調べるテストです。

 

太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みが誘発され、第5腰椎/仙骨間の腰椎椎間板ヘルニアの時にみられます。

 

このテストで痛みが出た場合、SLRテスト陽性と呼び、腰椎椎間板ヘルニアでは最も重視される検査方法の一つですが、高齢者の場合は、このテストで陰性が出ることが多いとされています。

 

大腿神経伸展(FSN)テスト

出典:交通事故110番

 

患者さんにうつぶせになってもらって、膝を曲げて太ももを背中側にあげてもらって調べるテストです。

 

太ももの付け根や前側、またはすねの部分に痛みが誘発され、第2/3腰椎間、第3/4腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアの時に診られますが、高齢者の場合、このテストでも陰性が出る場合が多いです。

 

神経学的診察

 

腰椎椎間板ヘルニアになると、飛び出した椎間板で、神経根や馬尾などといった神経組織が障害を受けて、痛みやしびれが生じます。

 

そこで、神経的診察をすることで、どこの椎間板が飛び出しているかを推測することができますが、具体的には次の3つの検査を行います。

 

  1. 筋肉の力
  2. 痛みや温度などの感覚
  3. 腱反射

 

この3つの検査をするのは、ヘルニアによって障害を受けるそれぞれの神経で、障害を受ける筋肉、感覚の場所、腱反射が違うからです。

 

言い換えれば、この3つの検査法で、どの神経が圧迫を受けて障害を発生しているのかを推察することができます。

 

例えば、第4/5腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアの場合は、第5腰髄神経根が障害を受けることによって長母指伸筋(ちょうぼししんきん)という足の親指を上に反らす筋力が弱くなります。

 

感覚のほうは、すねの外側の部分から足の甲のほうが鈍くなります。

 

しかし腱反射のほうは、障害を受けません。

 

これは一般的な例で、必ずしもは当てはまらない場合も考慮しないといけないのですが、神経学的検査を行うことによって、どこの椎間板にヘルニアが発症したのかを推測することができます。

 

まとめ

ここまで次のことをお話してきました。

  1. 腰椎椎間板ヘルニアとはどんな病気?
  2. 腰椎椎間板ヘルニアの症状
  3. 腰椎椎間板ヘルニアの診察
  4. 神経刺激症状の誘発テストと神経学的診察神経刺激症状の誘発テスト
  5. 下肢伸展挙上(SLR)テスト
  6. 大腿神経伸展(FSN)テスト
  7. 神経学的診察

 

神経刺激症状の誘発テストや神経学的診察で、どの椎間板が飛び出して、神経を圧迫しているかが、大方推測することができることがわかりましたね。

 

もし、ご自分で確認したいという場合は、この記事で紹介したテストを試してみてください!