腰椎椎間板ヘルニアという腰痛や足の痛みやしびれが発生する病気がありますが、腰椎椎間板ヘルニアについて正しく理解できていますか?
実は私の知り合いで、腰痛があるという人がいるのですが、もしかして腰椎椎間板ヘルニアなのかなって言ってました。
腰椎椎間板ヘルニアという病気と似たようで、実は別の病気だったということも無きにしも非ずです。たとえ、同じ腰椎椎間板ヘルニアでも、部位によって症状が異なったり、自己判断でうっかり別の処置をして悪化したとか、紛らわしいこともあります。
この記事では、腰椎椎間板ヘルニアの病態の理解を深めるために問題集という形式で、いくつか問題を作ってみました。
腰椎椎間板ヘルニアの患者への生活指導
Aさん(25歳男性やせ型)は、3週間前から腰痛と右足のしびれの症状が発生して病院で診察を受け、腰椎椎間板ヘルニアと診断された。保存治療を受けることになったAさんへの生活指導で適切なのはどれか。
- 痛いときには冷罨法をするのが効果的です。
- 腰の下に枕を入れて寝ましょう。
- 体重を減らしてください。
- 前かがみの姿勢を控えましょう。
解答
1.✖
腰椎椎間板ヘルニアには、温熱療法が効果的である。
2.✖
腰の下に枕を入れると腰椎が曲がって負担がかかって、腰椎椎間板ヘルニアが悪化する。
3.✖
腰椎椎間板ヘルニアは、肥満で椎間板に負担がかかることで生じるが、Aさんは瘦せ型で肥満ではないので、体重を減らす必要はない。
4.〇
腰椎椎間板ヘルニアは、前かがみになって腰に負担がかかることが原因である。
腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか?すべて選べ【その1】
- 急性期に手術治療を行う
- MRIでの診断が有用である
- 好発部位は第2/3腰椎間である
- 70代以上の女性に多い
解答
1.✖
腰椎椎間板ヘルニアは、時間が経過すると自然に消えることもあるので、急性期の治療は保存療法を行うことが多く、安静、コルセット、骨盤牽引などを行う。
2.〇
腰椎椎間板ヘルニアの診断は、MRIでヘルニアの状態や神経圧迫の程度を観察でき、有用である。
3.✖
腰椎椎間板ヘルニアの好発部位は第4/5腰椎間と、第5/第1仙骨の間に発症することが多い。
4.✖
腰椎椎間板ヘルニアの患者は、20代から40代の男性に多い。
腰椎椎間板ヘルニアで正しいものをすべて選べ。【その2】
- 急性期に手術治療を行う
- MRIでの診断が有用である
- 第4腰椎神経根が炎症を起こす
- 好発部位が第1/2腰椎間である
解答
1.〇
腰椎椎間板ヘルニアの原因は、椎間板に負担がかかって変性することが原因である。
2.〇
腰椎椎間板ヘルニアは、咳やくしゃみで痛みが強くなることもある。
3.〇
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出して第4腰椎の神経根が圧迫を受けることによって炎症を起こすことによって、痛みやしびれが発生する。
4.✖
腰椎椎間板ヘルニアは、第4/5腰椎間と、第5/第1仙骨の間が好発部位である。
腰椎椎間板ヘルニアで正しいものをすべて選べ。【その3】
- 50代に多い
- 第4/5腰椎間で発生すると前脛骨筋の筋力が低下する
- 第2/3腰椎間で発生すると大腿神経伸展テストが陽性になる
- 男性より女性に発生することが多い
解答
1.✖
腰椎椎間板ヘルニアは20~40代の比較的若い年代に多い。
2.〇
腰椎椎間板ヘルニアになると、前脛骨筋(足関節の背屈)の筋力が低下する。
3.✖
腰椎椎間板ヘルニアの検査で、大腿神経伸展テストで陽性が出るのは、第4/5腰椎間と、第5/S1腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアの時である。
4.✖
腰椎椎間板ヘルニアには、2~3:1で、女性よりも男性に多い。
腰椎椎間板ヘルニアで正しいものをすべて選べ。【その4】
第4/5腰椎の椎間板ヘルニアの症状はどれか。すべて選べ。
- 長母指伸筋の筋力低下
- 下腿外側の感覚麻痺
- ラゼーク徴候の陽性
- 膝蓋腱反射減弱
解答
1.〇
第5腰神経根に障害が起きると、長母指伸筋の筋力低下を起こすことによって、母趾の背屈力低下が生じてかかとで歩けなくなることもある。
2.〇
第5腰椎神経根に障害が起きると、下腿外側の足の甲の中心部分から親指にかけて、感覚麻痺を起こすことがある。
3.✖
SLRテストでラゼーク徴候の要請が出るのは、第5/S1腰椎の神経根症状誘発された場合である。
4.〇
第3/4腰椎、第4/5腰椎、第5/S1に腰椎椎間板ヘルニアが認められた場合、膝蓋腱反射が減弱していることがある。
腰椎椎間板ヘルニアで正しいものをすべて選べ。【その5】
出典:岩井整形外科内科病院 腰痛の機序と疾患|整形外科|岩井グループ
- 椎間板の前側方突出が多い
- 第3/4腰椎間で最も多く発症する
- 第4/5腰椎間で生じると、下腿三頭筋の筋力が低下する
- 第5/S1腰椎間で生じると、アキレス腱の反射が低下する
解答
1.✖
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の後側方突出が多い。
2.✖
腰椎椎間板ヘルニアは、第4/5腰椎間と、第5/S1腰椎間に最も多く発症する。
3.✖
下腿三頭筋の筋力が低下するのは、第5/S1腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアの場合である。
4.〇
アキレス腱反射の低下は、第5/S1腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアの時に見受けられる。
まとめ
これまで次の6つの問題と回答について解説してきました。
- 腰椎椎間板ヘルニアの患者への生活指導
- 腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか?すべて選べ【その1】
- 腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか?すべて選べ【その2】
- 腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか?すべて選べ【その3】
- 腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか?すべて選べ【その4】
- 腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか?すべて選べ【その5】
腰椎椎間板ヘルニアの症状がどんなものなのかが改めて確認することができたと思います。
また看護師の国家試験を受けられるという方がこの記事を見てくださっているのであれば、このような感じの問題が出てきますので、その手助けになるのであれば、嬉しいです。