腰椎椎間板ヘルニアの高位診断ではどんな問診や検査をするか?徹底解説

20代から40代の若年層に多く見られる腰椎椎間板ヘルニア。

しかし、同じ腰椎椎間板ヘルニアでも、どの部分が痛いかで、どの部分の椎間板が障害を受けているかがわかります。

医者は、丁寧に問診をしてヘルニアの部分を推定します。

この記事では、そもそもどんな症状があると腰椎椎間板ヘルニアなのか、そして、どんなことを患者に質問して、ヘルニア高位を推定するのかについて、詳しく解説していきます。

こんな症状があると腰椎椎間板ヘルニアかも!?

まず、次の3つうちの症状が当てはまると腰椎椎間板ヘルニアである可能性があります。

  1. 腰やお尻から、足の太ももやすね広がる痛みやしびれがあり、咳やくしゃみで痛みが強まる
  2. 痛みやしびれに加えて足感覚が麻痺して歩きにくくなる
  3. 足に激痛が走ったり強くしびれるのに加えて排尿障害が発生した

 

特に3番の場合には膀胱へつながる部分の神経障害が疑われますので、緊急に医療機関で診察を受けることが必要です。

このような場合には、鍼灸やあんまでマッサージを受けたり整体を受けるのは、大変危険な場合があります。

まずは病院へ行って受診することをおすすめしますが、中でも背骨の病気は整形外科が専門としています。

腰椎椎間板ヘルニアの高位診断

腰や足に痛みやしびれなどの症状が発生した場合には、的確な問診を行うことで、腰椎椎間板ヘルニアの可能性を疑うことや、ヘルニア高位を高確率で推定することが可能です。

そのため、問診を行うことは、腰椎椎間板ヘルニアの診断においてとても大切です。

問診

腰椎椎間板ヘルニアになると、腰やお尻だけではなく、足のほうにまで痛みやしびれが生じます。

腰椎椎間板ヘルニアの問診では、足の痛みやしびれでどこの部分が痛いのか、を医者から次の5つのことをたずねられます。

  1. 腰だけでなく足のほうにも痛みやしびれがあるか?
  2. 足に痛みやしびれがある場合、どの部分が痛いのか?下のほうまで痛みやしびれがあるのか?
  3. 太ももや脛などに痛みやしびれがある場合内側が痛い?外側が痛い?それとも後ろ側か?
  4. どんな時に足の痛みやしびれが強くなるか?くしゃみや咳で強まるか?安静にしているときはどんな感じか?
  5. 持続的に痛みやしびれがあるか?それとも発作的に生じるか?

これらの質問を丁寧にすることは、腰椎椎間板ヘルニアの診断を下すのには重要な役割を持っています。

腰椎椎間板ヘルニアの放散痛の分布領域

ガイドライン|日本緩和医療学会

放散痛の分布領域から、脊髄のどの部分が障害されているかが知ることができます。

  1. 鼡径部~大腿部の痛み…第2椎間板と第3椎間板の間
    →第3椎間板には膝全面の疼痛が多い
  2. お尻~大腿後外側後面の痛み…第4椎間板と第5椎間板の間と第5椎間板と第1仙骨の間
    →第4椎間板にはすねの内側の痛みが多い
    →第5椎間板にはすねの外側の痛みが多い
    →第1仙骨にはふくらはぎ後ろ側の痛みが多い

 

※ただし、放散痛の分布領域には人によって個人差があり、それだけではヘルニア高位の特定はできません。

上位腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアの中が一番発生しやすい部分は、第4腰椎と第5腰椎の間と、第5腰椎と第1仙骨の間などの下位腰椎ですが、第1腰椎と第2腰椎の間、第2腰椎と第3腰椎の間、第3腰椎から第4腰椎の間などに発生する上位腰椎椎間板ヘルニアもよくあります。

上位腰椎椎間板ヘルニアの場合の足の痛みやしびれが発生する部分には注意が必要で、この例の臨床症状や所見の研究では、足の痛みやしびれには鼡径部や大腿部に多いのですが、時々すねの部分に痛みが生じる場合もあり、実際の手術の研究では、上位腰椎椎間板ヘルニアの場合の疼痛放散領域にはあまり信頼性がないということが言われています。

下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)と大腿神経伸展テスト(FNSテスト)

医者からの問診が終わると、患者さんに医師の指示通りに身体を動かしてもらったり、医師が患者さんの身体に触って行う診察を、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)大腿神経伸展テスト(FNSテスト)と言います。そして、神経障害を調べる神経学的診察も重要です。

下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)

 

医師が患者さんの膝を伸ばして上に持ち上げたときに太ももの後ろからふくらはぎの外側が痛くなるかどうかを調べる診察を、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)と言う、患者さんの足の痛みやしびれを再現する診察法です。

太ももの後ろからふくらはぎが痛むのは、第4腰椎と第5腰椎の間や第5腰椎と仙骨の間の腰椎椎間板ヘルニアであるときにみられるもので、痛みが見られた場合にはSLR陽性と診断されますが、高齢者の場合にはSLR陰性と出る場合が多く見受けられます。

大腿神経伸展テスト(FNSテスト)

 

 

交通事故110_頚・腰部捻挫の徹底研究

一方、腰椎椎間板ヘルニアが発生する椎間板が、第1腰椎と第2腰椎の間、第2腰椎と第3腰椎の間、第3腰椎と第4腰椎の間であると、太ももの付け根や前側、脛の内側に痛みが生じますが、このテストを大腿神経伸展テスト(FNSテスト)と言います。

下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)の時と同じで高齢者はこのテストでも陰性と出る場合が多く見受けられます。

神経学的診察

 

飛び出した椎間板によって、馬尾や神経根などの神経組織が障害を受けるのですが、どの部分の椎間板が飛び出しているかを推察できるのが神学的診察です。

神学的診察では、次の3つの診察が行われます。

  1. 筋肉の力
  2. 腱反射
  3. 感覚

なぜこの3つの診察で飛び出した椎間板の部分がわかるのかというと、腰椎椎間板ヘルニアによって障害される神経のそれぞれで障害を受ける筋肉や感覚の部位、そして腱反射が違うからです。

上位腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアの中が一番発生しやすい部分は、第4腰椎と第5腰椎の間と、第5腰椎と第1仙骨の間などの下位腰椎ですが、第1腰椎と第2腰椎の間、第2腰椎と第3腰椎の間、第3腰椎から第4腰椎の間などに発生する上位腰椎椎間板ヘルニアもよくあります。

上位腰椎椎間板ヘルニアの場合の足の痛みやしびれが発生する部分には注意が必要で、この例の臨床症状や所見の研究では、足の痛みやしびれには鼡径部や大腿部に多いのですが、時々すねの部分に痛みが生じる場合もあり、実際の手術の研究では、上位腰椎椎間板ヘルニアの場合の疼痛放散領域にはあまり信頼性がないということが言われています。

腰椎椎間板ヘルニアの診察のほかの検査

腰椎椎間板ヘルニアの診断で、診察のほかには、下のような6つの検査があります。

  1. レントゲン写真
  2. MRI
  3. CT脊髄造営検査
  4. 椎間板造影
  5. 神経根造影
  6. 電気を使用する神経検査

 

治療が必要な腰椎椎間板ヘルニアかどうかの判断には、適切な医者の診察とMRI検査をおこなうだけでも十分な場合が多いです。

まとめ

 

ここまで次の11個のことについてお話してきました。

  1. こんな症状があると腰椎椎間板ヘルニアかも!?
  2. 腰椎椎間板ヘルニアの高位診断
  3. 問診
  4. 腰椎椎間板ヘルニアの放散痛の分布領域
  5. 上位腰椎椎間板ヘルニア
  6. 下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)と大腿神経伸展テスト(FNSテスト)
  7. 下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)
  8. 大腿神経伸展テスト(FNSテスト)
  9. 神経学的診察
  10. 上位腰椎椎間板ヘルニア
  11. 腰椎椎間板ヘルニアの診察のほかの検査

専門的な内容で少し難しかったかもしれませんが、医者はこれらの診察に基づいて、腰椎椎間板ヘルニアでどの部分の椎間板が障害を受けているのかを探って推定することがわかりましたね。

椎間板の障害を推定することは、腰椎椎間板ヘルニアの治療をしていくうえで非常に重要なことです。

腰に激痛が走っている!!とか、足がしびれる!!という異常があるようであれば、1日も早く専門医に診てもらうことが、症状改善への近道ですよ!